SNSを利用する子供たちを狡猾な犯罪者たちから守るのは私たち保護者です。
漠然とイメージしていたSNSの危険性を明確にして、子供たちを何から守る必要があるのかを知ることが大切です。
SNSは私達の世界を広げてくれますが、無防備で飛び出していくことは非常に危険です。
大人でさえもSNSに潜む危険性に翻弄されている現状ですから、判断力が足りない子供たちを守ることは保護者としての絶対的な義務と言えるのではないでしょうか。
SNSの犯罪から子供を守る!
平成29年春から携帯電話事業各社は、顧客へのフィルタリングサービスを「あんしんフィルター」という名称で統一し、未成年が使用する際のフィルタリング設定を提供しています。
フィルタリングとは、子供たちがインターネットの世界で危険な場所や危険な相手と遭遇しないようにするための利用制限装置です。
しかし、SNSで被害に遭っている未成年者のうち約9割がフィルタリングを利用しておらず、せっかくの予防策がうまく機能していない状況です。
原因は設定の煩雑さや危険性への無知、子供から反対されたなどの理由で、未成年のSNSやインターネット使用に対する危機感の無さが見られます。
あなたがまだ、子供のスマートフォンやパソコンにフィルタリングを設定していないのであれば、まずはそこから手を付けて下さい。
一方SNSを扱う各社は、政府からの要請でアプリの利用環境を改善してきています。例えば、年齢確認を設けたり、犯罪につながるような発言を制限したり、未成年者と悪意ある大人が接触できないようにしたり、未成年者が見知らぬ人と直接連絡を取れないようなシステムにするなど対策がとられています。
子供はネット上で友達とのやり取りに夢中になり、必要以上に自分のことを公開してしまう傾向があります。その結果、ネットいじめの標的になったり、性犯罪者に目を付けられてしまったりする可能性があります。
リアルとSNSが紐づくことで、ストーカーや暴行事件、空き巣被害などに発展してしまう恐れもあります。
一度拡散された情報はもう消すことはできません。ほんのちょっとしたことで発生したトラブルが後々就職や結婚に影響することもあり、取り返しのつかない過ちになってしまうのです。
自分では面白いと思って投稿したものでも、他の人にとっては不快であったり、社会的に許されない内容だった場合に、誹謗中傷を浴びせられたり投稿のコピーが瞬く間に拡散され、個人が特定されたり公開されたりすることがあります。
インターネットを使っている以上はこのような問題は他人事ではなく、自分にも起こりえることなのです。
SNSに起因する未成年者の事件
警察庁の統計によると、コミュニティサイトにおける被害児童の状況は以下の通りです。
・14歳以上の被害児童が多く、特に16歳、17歳の被害児童数の増加傾向が顕著。
・被害児童のコミュニティサイトへのアクセス手段は約9割がスマートフォンで、それ以外は携帯電話や携帯音楽プレイヤーやパソコンである。
・Twitterに起因する被害児童は全体の3分の1強を占める。
参照:警視庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/cyber/statics/)
今年(平成29年)10月に発覚した、神奈川県座間市のアパートの一室で9人の切断遺体が見つかった事件では、Twitterを介して一緒に自殺したい人や、自殺の方法を探しているという書き込みで犯人は被害者に近付いています。9人のうち3人は未成年でした。
本当に死にたかったわけではなく、寂しい気持ちを誰かと共有したかっただけだったとしても、悪意を持った人間は言葉巧みに近づいてきます。
SNSではその匿名性から深い悩みや率直な気持ちを書き込みやすく、すぐに心理的な距離が縮まり、相手に心を許してしまいやすいという危うさがあります。相手を信頼して連絡先を交換したり直接会ったりして、犯罪につながる危険性が高まります。
また最近では、SNSで知り合った相手が裸の写真を送信するよう要求してくるケースもあります。他の人に公開しないから安心してだとか、同性を装って親しくなり、お互いに秘密の写真を送り合おうなどと誘ってきます。
送信した写真は悪用され、拡散させると脅かされたりするかもしれません。公開していないはずの名前や住所まで一緒に公開されれば、すぐに同級生や知人に広まってしまいます。
SNSの相手が「いいひと」を演じている悪意ある大人かどうか、子供たちが判断するにはまだ人生経験が足りないでしょう。保護者の見守りが必要です。
SNSに依存してしまうのはなぜ?
SNSを利用する時間が長いほど犯罪に巻き込まれる確率が高くなる傾向にあります。
SNSを始めるきっかけは、友達に話せない悩みを誰かに聞いてほしいだとか、友達がみんな使っているからだとか、些細なことですが、極端にはまってしまう人がいます。
最初はすぐに返信が来たり、新しい友達ができたりする楽しさや満足感が得られますが、はまってくるとその満足感が中毒になり、常にネットにアクセスしていなければ落ち着かないような状況になってしまいます。
高校生であっても、SNSの利用時間やスマートフォンの利用場所を制限することは必要です。
「勉強が手に付かない。このままではやばいと思っていても、みんな使っているからスマホをやめられない」
というように子供自身も止めたいと思っていても止めることができないケースがよくあります。
SNSやスマホのゲームなどは中毒性があり、ただ注意をしたりスマホを取り上げたりするだけでは逆効果です。
理想的なのは、SNSを始める前に家族でルールを決めておくことですが、すでに依存状態であってもしっかりと話し合う場を持つことが大切です。
親の話に耳を傾けることができないほどSNSにのめり込んでしまった場合には、日常生活に支障をきたし、ネットにつながっていないとストレスで体調を崩したりするなど、まさに中毒症状になってしまいます。
犯罪に巻き込まれたり、身体を壊してしまう前に、診療内科の受診をすべきです。
まとめ
このように、SNSというコミュニケーションツールは様々な観点から問題があると言えます。
しかし、一方でSNSを始めたことで毎日が楽しく感じられたり、家族とのやり取りが増えたりするなどメリットもあります。
災害時には連絡手段として最も早く利用でき、安否確認や被害状況を伝えることができたというような事実もあります。
SNSを使わないという選択肢を選ぶか、ルールを決めて家族で見守っていくかは、お子さんの性格や家庭の事情を考慮して判断する必要があるでしょう。